1995年米国Amoco Chemical社が、PENの主原料であるNDCの商業生産を始めたのを契機に、PEN樹脂の成形品分野への応用の検討が開始され、種々の分野で使用され始めました。
帝人グループはこれに先立つこと31年前の1964年にPEN樹脂の研究開発を開始し、以来途絶えることなく今日まで、成形材料、2軸延伸フィルム、繊維材料としての応用開発を続けてきました。早くも1971年にはPENフィルムを商業化し、また原料合成の新プロセスも開発いたしました。帝人グループのPEN開発の歴史は世界のPENの歴史と言っても過言ではありません。
PENは、酸成分のナフタレンジカルボン酸と、グリコール成分のエチレングリコールとの重縮合物を骨格鎖とする結晶性熱可塑性ポリエステルです。
代表的ポリエステルであるポリエチレンテレフタレート(PET)と類似の製法にて生産され、また成形加工も同様の方法にて行われます。
しかし、PENの性能はPET対比ワンランク上位に位置づけられます。また本来結晶性樹脂ではありますが、結晶化速度は遅く、容易に透明成形品が得られ、従って工業用部品、食品包装、医薬品包装等の機能部材として利用されます。
| <PEN樹脂の特徴> |
|---|
| ①透明性がよい |
| ②熱変形温度が高く、耐熱性に優れる |
| ③ガス透過、水分透過が極めて低い |
| ④耐薬品性、耐加水分解性に優れる |
| ⑤フレーバー吸着が少ない |
| ⑥紫外線遮断性能があり、内容物を保護する |
| 特 性 | 試験方法 | 単 位 | PEN ホモポリマー TN8065S |
PEN ホモポリマー TN8050SC |
PET |
|---|---|---|---|---|---|
| 比重 | ASTM D792 | - | 1.33 | 1.33 | 1.33 |
| 融点 | DSC法 | ℃ | 265 | 265 | 252 |
| 引張強度 | ASTM D638 | MPa | 74 | 74 | 55 |
| 曲げ強度 | ASTM D790 | MPa | 94 | 94 | 88 |
| 曲げ弾性率 | GPa | 2.3 | 2.2 | 2.2 | |
| 衝撃強度(ノッチ付き) | ASTM D256 | J/m | 39 | 29 | 29~49 |
| 荷重たわみ温度 | ASTM D648 | ℃ (4.6kgf/cm2) |
109 | 109 | 63 |
| 成形収縮率 | ASTM D955 | % | 0.4~0.8 | 0.4~0.8 | 0.4~0.8 |
延伸ブローボトルの耐熱性を下図に示します。
延伸ボトルでは約100℃の耐熱性を持っています。
| 条 件 | O2 | CO2 | H2O | |
|---|---|---|---|---|
| PEN (ホモポリマー) |
無延伸 | 18 | 59 | 15 |
| 延伸 | 5.9 | 24 | 7 | |
| PET | 無延伸 | 53 | 263 | 60 |
| 延伸 | 23 | 105 | 21 |
条件:延伸倍率3.5×3.5、 測定温度:30℃
単位:O2、CO2:cc・100μm/m2/24hr/atm、H2O:g・25μm/m2/24hr
| 薬 品 | 薬 品 | 薬 品 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 硝酸 10% | ○ | 水酸化ナトリウム 1% | ○ | トルエン | ○ |
| 硫酸 99% | × | 水酸化ナトリウム 10% | ○ | キシレン | ○ |
| 塩酸 | ○ | 飽和アンモニウム水 | ○ | フェノール | × |
| 酢酸 | ○ | 過酸化水素 | ○ | THF | × |
| 蟻酸 | × | エチルアルコール | ○ | グリセリン | ○ |
| クエン酸 | ○ | メチルアルコール | ○ | グリース | ○ |
| 酢酸エチル | ○ | アセトン | ○ | モーターオイル | ○ |
| 酢酸ブチル | ○ | ベンゼン | × | ガソリン | ○ |


射出成形、押出成形等を行う前に、材料の乾燥が必要です。乾燥が十分でないと溶融時に加水分解を起こし劣化しますので、本来の特性が出ません。
乾燥機:除湿乾燥機、乾燥温度:160℃、乾燥時間:6Hr
また過度の高温や長時間の乾燥は、成形品の色相に影響を与えます。
融点が高く、溶融粘度の高い材料ですから、溶融特性を考慮して成形してください。
シリンダー温度:280~310℃
金型温度:15~60℃